舌打ちに夢中なおっさん
電車に乗っていた
中学生くらいの男の子が
座席でうつらうつら
慣性の法則で頭が隣のおっさんの方に流れる
おっさん荷物を上げるふりしてどつく
おっさんかなりどつく
男の子は眠い
睡眠薬でも飲んだのかくらい
寝ている
そしてまたおっさんに流れる
おっさん
露骨にどつく
少年、覚醒しないのが不思議
どんどん流れる
おっさん舌打ち攻撃
ずっと舌打ち
そこまで邪魔で嫌なら立てよ
と思うほど
座席を離れるのは負けなのか
流れる
どつく
舌打ち
少年はめげずに?流れる
確信的なのかと疑うほど流れる
おっさん舌打ち
終着駅着いたのでじぶんは
そそくさと扉に向かったが
おっさんはまだ舌打ちをしていた
終点だぞ
おっさんにとっては
終着駅に着いたことよりも
自分の領域が侵されることの方が
大事なことなのだ
舌打ちに夢中なおっさんの話し